外国語を知らない者は、自国語についても無知である

ゲーテの有名な箴言です。外国語に取り組めば確かにその意味と重みが日ごとに分かってくる気がします。

ところがあるとき不用意にこの格言を引用した際、友人から「ゲーテの言っている外国語は実はひとつじゃないんですよね」と指摘されました。目から鱗とはこのこと、大切なところを理解していなかったことに気づきとても恥ずかしい思いをしたものです。

原文の「外国語」に相当する箇所は、確かに fremde Sprachenと複数形になっています。

Wer fremde Sprachen nicht kennt, weiꞵ nichts von seiner eigenen. ゲーテ『箴言と省察(Maximen und Reflexionen)』

ところでゲーテは何か国語くらい学んだのでしょうか。父親の影響で幼少のころからイタリア語をかわきりに家庭教師についてラテン語、ギリシャ語、ヘブライ語、フランス語さらには英語と習得していったそうです。

ドイツ語をやっているからと言って偉そうなことを言うな、と叱られそうなので大きな声では言えませんが、英語を、しかも英語だけを学んでさも得意げにこのゲーテの箴言を語っている人にこそ、箴言の本当の意味を理解してもらいたいものだと思います。(Y.N)


1コメント

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  • Schlossclub

    2020.02.29 14:41

    そうだったんですね。つまり「複数の外国語を知らない者は…」ということだったと。なんとハードルの高いことか(汗